産婦人科

家庭と育児に加えて社会のさまざまな場面で女性の活躍する時代になり、平均寿命が85歳を超えた現在、産婦人科が扱う疾患は非常に多岐に渡っております。当科は二次医療機関として産婦人科全般に対するケアを提供して、不妊症、婦人科良性・悪性腫瘍、月経障害や更年期障害などの女性特有の疾病に対する診断と治療の体制を整えてきました。健康・ホルモンバランス維持の基本は、栄養、運動、そして生活のリズムにあることはもちろんですが、体調を崩されたり、期待した結果が得られない場合には早期の診断治療が有効です。外来および入院の診療を通して、検査を速やかに実施して、正確な診断と詳しい説明のもとに、安全で満足のできる医療を提供したいと考えております。


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 現在、お産(妊婦検診、分娩)は休止しております。

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対象疾患/症状
不妊症・無排卵症/不育症(習慣流産)/月経不順/月経困難症(月経過多/生理痛)/更年期障害/子宮筋腫/卵巣のう腫/子宮内膜症/子宮外妊娠/自然流産/子宮頚癌/子宮体癌/卵巣癌/婦人科感染症(膣炎/外陰炎/卵管炎)/子宮脱

外来担当医一覧

平成28年4月1日現在
 
初診
金田
交代制
柳本
菅原
前原
再診1
伊藤
柳本
金田
金田
伊藤
再診2
菅原
前原
前原
柳本
菅原

  • 診察受付時間
     【初診】       午前8:30~11:00(1階新患受付にて受付)
     【再診(当日予約有り)】午前7:40~    (1階再来受付機にて受付)
                午前11時以降はご予約の時間の約1時間過ぎまで受付できます。
     【再診(当日予約無し)】午前7:40~11:00(1階再来受付機にて受付)
  •  
  • 午後は担当医によりことなります。
  •  
  • 原則として初診の医師は当科に前年より受診歴のない方のみを拝見します。

  •  

    母乳外来休止のご案内

    母乳外来を行っておりましたが、助産師の減少に伴い、母乳外来を休止させていただきます。 ただし、授乳中で「乳房に痛みや発赤があり、発熱している」などの症状がある場合は、通常の医師診察を受けることができます。 【当院の受付時間】 初診の方・・・平日(月~金曜日 8:30~11:00) 再診の方・・・平日(月~金曜日 7:40~11:00) *受診した際に、助産師が母乳マッサージや指導を行った場合は、診察料のほかに、別途、助産師の指導料¥3,000がかかりますのでご留意ください。



    母乳外来のご案内

     
    まずはお電話でご連絡ください。 048-832-4951 平日の 8:30~16:00までに産婦人科外来へご連絡ください。 ご相談の上、来院日を決めさせていただきます。持参していただく物 母子手帳・保険証・当院の診察券(お持ちの方)料金 1. 助産師の指導料 ¥3.000 2. 医師による診察や薬剤が処方された場合は、初診料又は再診料+処方料が別途加算されます。 *医師の診察が必要な場合はお待ちいただくことがありますのでご了承ください。 
     



     

     

    平成21年1月26日

    お 知 ら せ

    お産(分娩)中止について

    平成21年4月より、小児科医師不足に伴い、当院におきましては入院分娩を当面休止することといたしました。皆様には、ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解、ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。 なお、この件についての問い合わせは、下記までお願い申し上げます。  

    お問い合わせ先

    埼玉メディカルセンター 産婦人科

    電話048-832-4951 内線1144

     

    埼玉メディカルセンター

    院 長    細田洋一郎

    産婦人科部長 伊藤仁彦

     

    | 手術・内視鏡下手術のご案内 |

    1)入院して行うもの

    子宮全摘術(通常の子宮筋腫、初期の子宮癌)/子宮筋腫核出術(子宮を残す場合の子宮筋腫の手術)/腹腔鏡下子宮全摘術・子宮筋腫核出術(子宮筋腫などで一定の条件を満たす患者様に施行)/腹腔鏡下附属器切除術・卵巣のう腫切除術(良性卵巣のう腫の手術)/子宮鏡下子宮筋腫(粘膜下筋腫)・内膜ポリープ切除術/子宮脱手術/レーザー円錐切除術(子宮頸部上皮内癌)/子宮癌根治術/卵巣癌根治術/流産手術

    ※内視鏡下手術の詳細につきましては、後述の「当院における産婦人科内視鏡下手術について」をご覧下さい。

    2)外来で行うもの

    卵巣のう腫内容経膣吸引術、バルトリン腺開窓術、コンジローム焼灼術、人工授精

    当院ではいわゆる人工妊娠中絶手術はおこなっておりません。

    当院における産婦人科内視鏡下手術について

    当院産婦人科では、低侵襲で術後の回復も早い内視鏡下手術(腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡)を1993年より取り入れ、条件の合う患者様には積極的に行うようにしております。特に腹腔鏡下手術につきましては需要も多く、希望される患者様には現在約3~4ヶ月程お待ち頂いている状況です。手術は毎週行われるミーティングでの症例検討を経て、良好なチームワークのもと予定が組まれております。疑問な点、ご質問等ございましたら、どうぞ遠慮なく外来担当医にご相談ください。 それではそれぞれの手術につきまして説明させていただきます。

    【腹腔鏡下手術】 腹腔鏡下手術とは、全身麻酔下に5~12mmの非常に小さな傷をお腹に数箇所あけて、腹腔鏡というカメラを入れ、炭酸ガスを腹腔内に充満させ、モニターに映し出された画像を観察しながら専用の手術器具を用いて遠隔操作で行う手術方法です(図)

    腹腔鏡下手術
    (腹腔鏡下手術イメージ)

    腹腔鏡システム
    (当院の腹腔鏡システム:Fujinon FTS400 system)

    手術風景
     

    (当院の腹腔鏡下手術風景)

    腹腔鏡手術は1990年頃から日本でも普及し、現在では不妊症検査・卵巣嚢腫・子宮筋腫・子宮内膜症など、産婦人科のほとんどの疾患がその対象となっています。お腹を大きく切る従来の開腹手術と比べて、傷が目立たない、痛みが少ない、術後癒着が比較的少なく不妊症の手術に向く、入院日数が短いために社会復帰が早くなるという利点があります。 しかし、お腹の中の状況によっては(癒着が非常に強い場合、出血が非常に多くなる場合など)、数センチの小切開を加えて腹腔鏡と小切開手術を同時に行ったり、手術の途中で開腹手術に移行することもあります。 腹腔鏡下手術は「早く退院できる」、「傷が小さい」といったように、メリットが強調されがちですが、2次元モニターを見ながら、遠隔操作による手術となりますので、高度な技術を要することもあります。当院では最新の機器(図)を導入し、不妊症検査(癒着剥離)・卵巣嚢腫・子宮筋腫・子宮内膜症・子宮外妊娠など、多くの疾患に対して腹腔鏡下手術を行っています。

    超音波切開凝固装置
    (超音波切開凝固装置:Ethicon Harmonic ScalpelⅡ)

    VSSVL
    (Vessel Sealing System:Valleylab LigaSure)

    VSSVL
    (子宮筋腫搬出用:Carl Storz モルセレーターⅡ)

    また、近年増加しているといわれている子宮内膜症は、重症化すると直腸・S状結腸などにも進展し、根治的に除去する為には腸管壁の損傷が避けられなかったり、一部腸切除が必要となることもあり、産婦人科医だけでなく、消化器外科の医師と協力しながら手術を行わなければならない状況もありえます。
    また、以前の手術・炎症などに起因する高度の癒着などの場合には、開腹手術に切り替えざるを得ないこともあります。患者様には”腹腔鏡下手術は万能ではなく、安全性を優先するために始めから開腹としたり、途中から開腹手術に移行することもありうる”と必ずお話させて頂くようにしていますが、実際の開腹手術への移行率は約1~2%と決して高いものではありません。
    手術後には人にもよりますが、概ね術後3~5日で退院される方が多いです。抜糸などは必要ありません。退院後は1~2週間後で通常の生活に戻ることができます。

    【子宮鏡検査(HFS:histero fiber scope)】

    【子宮鏡下手術(TCR:trans-cervical resecation)】

    子宮とはファイバースコープを子宮口から挿入し、生理食塩水を子宮にPPPP流させながら子宮内腔を観察する検査です。検査用の細い子宮鏡(軟性鏡)と手術用の太い子宮鏡(硬性鏡)があります。

    ~検査用子宮鏡~

    スコープの直径が約5mmと細くやわらかいので、検査に伴う痛みは少なく麻酔も必要ないため外来で短時間に行うことができます。原理は胃カメラなどと同じです。不正出血を有する方、過多月経の方、不妊症の方などが対象になり、検査によって、子宮筋腫(内腔に突出する粘膜下筋腫)・子宮内膜ポリープ・子宮奇形・子宮体癌などを発見することができます。検査は平日の午後に適宜行っていますが、生理周期に合わせて検査を行うことが必要となります。

    ポリープ1
    (子宮内膜ポリープ)

    ポリープ2
    (正常の卵管開口部)

    ~手術用子宮鏡~

    電気メスが付随したスコープを用いて、検査で見つかった粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなどを焼き切ります。手術用の子宮鏡の場合、入院と手術時の麻酔(全身麻酔または脊椎麻酔)が必要になります。手術時間は大体30分程度で終わりますが、粘膜下筋腫のサイズが非常に大きい時など、腹腔鏡手術を併用したりする場合もあります。非常に高周波の電気メスを使用するため、子宮穿孔や腸管損傷などの合併症が報告されており、慎重に手術を行います。

    | 体外受精-胚移植の開始について |

    近年の出生率の著しい低下と相まって、不妊症は増え続けており、当院ではこの重要な疾患に真剣に取り組んでおります。これまで、排卵誘発・洗浄人工授精・各種内視鏡下手術などを積極的に導入してまいりましたが、平成20年7月より不妊治療の切り札とも言うべき体外受精-胚移植を開始することとなり、更に幅広い対応が可能となりました。また予約外で来院が必要な患者さんをお待たせすることのないよう、不妊専門外来を新たに開設し、統一された方針で治療を進めてまいります。不妊症治療の詳細につきましては、下記をご覧下さい。



    | 当院における不妊治療について |

    1.はじめに

    赤ちゃんが欲しくてもなかなかできない。病院にいって検査した方がいいかもしれないけれどなかなか勇気が出ない・・・当院はそんな悩みをもっている方々のお力になれるよう、患者さん一人一人に合った検査・治療を行っております。 不妊症とは結婚後に避妊期間を除いて2年以上赤ちゃんに恵まれない状態とされていますが、ご年齢や既往歴によっては1年とすべき患者さんもいらっしゃいます。その原因には非常に多くの種類がありますが、まずは初診時の問診・診察結果からポイントを絞って順次検査を進めてまいります。検査自体が妊娠率を高める可能性があるもの(子宮卵管造影など)や、そのまま妊娠に至る可能性があるもの(フーナーテスト)などもあり、比較的早くご妊娠される方もいらっしゃる反面、先に手術を検討すべき状態であったり(子宮筋腫・卵巣のう腫・内膜ポリープなど)、人工授精や体外受精が必要となる状態である場合もあります。 当院で不妊症の治療を行うことにつきましては、総合病院であるメリットを活かすことができると考えております。その一つは不妊関連の手術を行う体制を整えていることで、短めの入院期間で低侵襲な内視鏡下手術(腹腔鏡・卵管鏡・子宮鏡)を積極的に行うようにしております。 二つめは緊急入院・手術に対応していることです。排卵誘発に伴う合併症として有名な卵巣過剰刺激症候群や、妊娠判明後に万一切迫流産や子宮外妊娠を起こしてしまった場合などでも即時入院が可能です。また人工授精・体外受精の実施にあたっては、当院では専用の培養室を設けていますので、良好な環境で適切な精子調整・卵子および胚操作を行うことが可能となっています。 ご妊娠希望の場合、まず初めは通常どおり初診で受診して頂きます(そのためお待ち頂くことがあるかもしれません)。その後は排卵前後など比較的高頻度に来院して頂く時期もありますので、極力お待たせすることのないよう独立して設置しております不妊外来へお越し頂くことになります。また当院の治療はステップアップ法を基本としており、原因があればその治療を行った上で極力自然に近い形での妊娠を目指しておりますので、理由なく過剰な検査・治療を行うことはありません。

    2.妊娠のメカニズム

    卵子は卵巣の中で、卵胞に包まれるような形で成熟します。そして、月経周期の中頃(月経開始日から約2週間後)になると卵胞が破れ、卵子が排出されます。これが排卵です。飛び出た卵子は、卵管の先にある卵管采と呼ばれるひだでキャッチされ、卵管内に入ります。そこでタイミングよく精子と出会えば、受精となります。受精卵は分割を始め、3~4日かけて子宮へと運ばれて行き、しばらくすると子宮の内側の膜にもぐり込みます。これを着床といい、妊娠が成立したことになります。排卵から約1週間の道のりです。全長50ミクロンの精子に比べ、卵子の大きさは直径約0.2ミリ。見ようと思えば肉眼でも見ることができます。この卵子がほぼ1ヵ月に1個、2つある卵巣の一方から排卵されます。


    3.基礎体温について

    基礎体温は今からでもすぐにつけはじめて下さい。そしてかならず診察の時にはご持参下さい。数周期前の表を見直すこともありますので、少し前のものもお忘れなくお持ちください。 基礎体温は線で結んでつなげて下さい。また月日、および月経周期(月経初日を1日目として何日目にあたるか)、月経(X)、帯下(+)、性交(○)、腹痛、処方された薬の服用日などをなるべく詳しく記入して下さい。


     

    月経周期は排卵までの期間(卵胞期)によって決まります。また年齢と共に卵胞期は短縮する傾向があります。排卵後の高温期(黄体期)は一定(約12~14日)ですので、予定月経開始日から12~14日差し引くと排卵日が予想出来ます。体温陥落日が最も排卵日の可能性が高いとされていますが、それでも約60%であり、±1日程度の幅があります。測定時刻が変わっても、4時間以上睡眠した後であれば大きな変化はないとされています。測定方法につきましては、下図を参考にして下さい。

     


    4.不妊症の主な原因とその検査・治療について


     

    (1) 排卵障害・卵成熟障害 基礎体温によって排卵に関する障害(無排卵・遅延排卵など)の有無がわかります。体重変動に伴う排卵障害が疑わしい場合には、その改善をして頂きます。また月経中に各種ホルモンの基礎分泌値を測定することで、下垂体ホルモン・副腎ホルモン・性腺ホルモンの異常の有無を確認します。 LH(黄体ホルモン)がFSH(卵胞ホルモン)より高い場合や、男性ホルモン高値などの場合には多嚢胞性卵巣(PCO)を疑います。FSH値は卵巣の予備能力を知ることにも役立ちます。また乳汁産生を促すホルモンであるプロラクチン(PRL)が高い場合はやはり排卵障害を引き起こします。このPRLは抗精神薬によって上昇することがありますので、初診の問診時には服用している薬剤があれば必ずお教え下さい。 薬剤による治療としては、卵子の成熟に効果があるとされる漢方薬を用いたり、排卵誘発薬を使用したりします。排卵誘発薬には多胎や卵巣過剰刺激症候群のリスクがありますので慎重な使用を心がけています。またPCOの場合は腹腔鏡下卵巣多孔術を行うことで約8割に自然排卵が戻るとされており、当院でもよく行っております。
    (2) 卵管障害 月経終了直後の子宮内膜が薄い時期に子宮卵管造影検査(HSG)を行い、卵管通過性・卵管水腫・卵管癒着・子宮内腔異常などの確認を行います。この検査は子宮の入り口より細いチューブを挿入し、レントゲンの透視下に造影剤を注入しながら撮影を行っていくものです。造影剤の種類によっては、その散らばり具合を見るために翌日も撮影を行うことがあります。

     

    卵管癒着・閉塞を起こす感染症としてはクラミジアが有名で、HSGをする前に血液検査または頚管粘液を採取して感染の有無を確認しています。陽性の場合は抗生物質による治療をご夫婦共に行っています。卵管水腫が重症で不可逆的な場合には、その内容液が着床を妨げる原因となりますので腹腔鏡下に卵管切除を行った後に体外受精を行うこともあります。 また簡便な方法として卵管通気・通水を行うこともあります。
    (3) 精子の障害 不妊症の約半数に、程度の差はあれ男性因子が認められます。従って精液検査は非常に重要です。2~7日の禁欲期間の後に(長すぎても良くありません)外来でお渡しする滅菌容器に採取して出来るだけ早く持参して頂きます(ご主人が来院する必要はありません)。この検査によって異常が認められても、再検査で問題ないこともあるため短絡的な診断は出来ません。 治療としては、洗浄人工授精(wAIH)や体外受精(顕微授精)を行うこととなります。

    (4) 子宮頚管障害 排卵期には頚管粘液の分泌が多くサラサラになるため(排卵期におりものが増量する自覚がある方は、このピークが性交渉のタイミングとなります)、この時期にのみ精子は子宮内に進入することが出来ます。ところが頚管粘液分泌不全や抗精子抗体の存在などのために、その進入が障害されることがあります。排卵日付近にこの頚管粘液を採取して(卵胞発育を見る超音波検査と共に複数回検査をすることがあります)、それを乾燥させた結晶の状態を観察して判定をします。 さらにフーナーテスト(PCT)といって2~7日の禁欲の後、排卵直前~排卵日にタイミングを合わせて検査日前夜~当日朝の間で性交渉をして頂き、外来にて頚管粘液中の運動精子を数えることで、問題なく子宮内まで精子が達しているかどうかを見ることが出来ます。 PCTはタイミングが非常に重要ですので、その前に1~数回外来受診をして頂き排卵日を厳密に予測する必要があります。不良であった場合は再検査を行うこともありますが、精液検査所見と併せて検討の上、洗浄人工授精や体外受精に進むことがあります。またPCTは間接的な精液検査であるとも言えます。
    (5) 器質的な障害
    上図のような各種婦人科疾患は初診時の経膣超音波検査にてすぐに確認することが出来ます。このうち妊娠に悪影響を与えると考えられるものについては手術にて切除を行います。当院ではその多くを内視鏡下手術で行っております。詳細はホームページ内の「当院における産婦人科内視鏡下手術について」をご覧下さい。
    (6) その他の検査について 今まで述べてきた検査の他にも色々な検査があり、必要に応じて適宜行ってまいります。高温期中期に十分なホルモンが分泌され、よい着床環境となっているかを見るための血中エストラジオール/プロゲステロン採血や子宮内膜組織診。他の血液検査として、末梢血検査・炎症反応(他の疾患の有無)、感染症(肝炎・梅毒・風疹など妊娠後も見据えて確認します)、甲状腺機能異常や高血糖の有無(妊娠に悪影響を与えます)などを見ます。また細菌感染も胚の発育・着床に悪影響を及ぼしますので、子宮頚管~腔内の細菌培養を月経中に行います。

    5.当院における不妊症の治療方針


     

    まず一般検査は、月経周期に合わせて時間を無駄にすることがないよう合理的に、かつ治療も兼ねて行ってまいります。検査後の基本的なステップアップはこのようになりますが、患者さん一人一人事情が異なりますので、臨機応変に方針を決めていきます。

    6.タイミング療法について

    経膣超音波にて卵胞のサイズが約20mm、子宮内膜厚が約10mmに達し、頚管粘液量が増量し羊歯状結晶形成が(3~4+)となり、場合によっては尿中LH測定を行い陽性反応が出ると排卵が予測されます。このタイミングをお教えすることで排卵期に確実に性交渉をすることが可能となります。また人工授精の場合も同様ですが、排卵後の高温期初期にも超音波を行い確実に排卵したかを確認することも重要です。


    7.洗浄人工授精(wAIH)について


     

    精液の状態がよくない場合、フーナーテスト不良の場合、タイミング療法で結果が得られなかった場合などに行う方法です。細いチューブを子宮内腔へ挿入して、シリカ粒子や培養液などで選別濃縮洗浄した良好な精子を排卵に合わせて注入します。これに伴う痛みはほとんどなく、注入後は数十分の安静のみで終了しますが、精子のカウント・調整に約40分~90分かかりますので、読書でもしてお待ち頂ければ幸いです。なお当院ではアイソレイト2層法やswim-up法などにて精子の調整を行っております。

    8.体外受精-胚移植(IVF-ET)について

    体外受精とは、調整した精子と体外に取り出した卵子を体外で受精させることです。こうしてできた胚を子宮や卵管にもどすことを胚移植といいます。タイミング療法・人工授精で効果が得られない場合や治療困難な卵管性不妊の場合、原因不明の長期不妊の場合などに体外受精を行います。また精子が元気ではないなどの理由で体外でも自然の受精が期待できないときには、顕微鏡下で人為的に授精させる顕微授精が行われます。

     


     

    ちなみに2003年度の日本における総出生児数は1,123,600人でしたが、このうち17,400人は体外受精で生まれた赤ちゃんでした。つまり、65人に1人は体外受精(生殖補助医療)によって生まれたことになり、現在では更にその数が増えているとされています。このように、もはや体外受精は特殊な治療ではなくなっています。 当院では生殖医療指導医のもと、良好なチームワークで治療にあたらせて頂きます。体外受精専用の培養室には最新の設備を備えて、配偶子(卵子・精子)・胚(受精卵)操作を清潔な環境下で行い、常に質の高い治療が行えるよう努力しております。不妊症・体外受精につきましては、豊島/田島がメインの担当医として拝診させて頂きます。また体外受精に関しましては、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室の久慈直昭講師を顧問にお迎えしております。

    9.日常生活へのアドバイス

    赤ちゃんは夫婦共に心身が健康な状態ですと授かりやすいものです。これから述べることを日常生活の中で活かして心身ともに健康を維持して頂ければ、必ずよい結果につながります。また不妊を克服する上で最も大切なことは、お互いの気持ちを理解し合うことです。夫婦間で思いやりの精神を持ち、決してあせったり落胆したりしないで楽な気持ちで(なかなか難しいことですが・・・)治療に取り組んで頂ければと思います。
    (1) 血行の改善 衣服:今流行のスリムな服は、ものによってはタイトすぎて体をしめつけますから避けましょう。女性のガードル、男性のブリーフもよくありません。 姿勢:長時間の車の運転やパソコン操作をするときなどは途中で体操をしたりして体を動かすようにしましょう。 運動:日頃から適度な運動を心がけましょう。足をあげての自転車こぎ、腹筋、柔軟体操など風呂上りにでも始めてみましょう。
    (2) 温度 女性は冷えによる下半身の血行障害が起こりやすいので注意しましょう。男性は精巣の温度が上がりすぎると造精機能が低下するので、長時間のコタツなどは避けたほうがよいでしょう。
    (3) 体重・食事 やせすぎ、太りすぎは確実に生殖機能に悪影響を及ぼします。適正体重を保つようにしましょう。また偏食をしないで家庭料理を中心に野菜・果物・肉・魚をバランスよくとり、間食やジャンクフードは控えましょう。
    (4) 嗜好品 タバコは妊娠~出産はもちろんのこと、健康に関していいことは一つもありません。禁煙しましょう。またアルコールは適度であればかまいません。
    (5) 衛生・入浴 下着は清潔に、生理用品は雑菌が繁殖しやすいタンポンは避け、ナプキンを使いましょう。また入浴は清潔を保ち、その上ストレスを解消させたり、血液の循環を改善しますから男女共におすすめです。入浴のポイントはぬるめのお湯にゆっくりとつかることです。
    (6) ストレス 精神的な悩みのために無排卵になったり、男性の性機能障害を引き起こすことがあります。かといって現代人でストレスがなく暮らしている人などはおりませんから、些細なことでクヨクヨせず楽しい会話や趣味でストレスをためないようにしましょう。また寝不足はイライラの原因になりますから十分な睡眠時間をとるように心がけましょう。
    (7) 性交 禁欲期間は2~5日程度とし、あまり長くならないようにしましょう。また性交は予定排卵日のみでなく、その後にも完全に高温期になるまで行うことも大切です。人工授精となった場合でも、その後に自然で性交を行うことも効果的なことがあります。



    | 産婦人科外来 Q&A |

    Q1.不妊外来はありますか。 A1.不妊症患者様のご負担を極力少なくし、かつ適切なタイミングで各種検査や治療が施行できるよう、不妊外来(子宮卵管造影検査・精液検査・ホルモン検査・細菌検査・タイミング指導・洗浄人工授精・各種排卵誘発など)を設定する予定です。患者様のニーズに合わせた的確な不妊症フォローアップのプロトコールに則り、統一された治療方針のもと安心して受診して頂けるよう努力してまいります。Q2.初めての場合、紹介状がなくても受診できますか。 A2.はい、できます。ただし、紹介状がない場合は通常の診察料のほかに、3,240円(消費税込)がかかります。 Q3.午後の診察はありますか。 A3.初診、一般外来は午前中のみです。 Q4.予約診察ですか。 A4.初診は予約制ではありません。受付時間内においで下さい。診察時に次回の受診の予約をとっています。電話での予約の申込みは出来ません。
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