血液内科

診療・各部門

対象疾患

令和2年1月までは非常勤医師による週1回の外来診療のみでしたが、令和2年2月1日より血液専門医1名(得平)が常勤し、入院診療も開始いたしました。 さらに、令和4年6月1日より血液専門医1名(木村)が赴任し、計2名での診療体制となりました。今後は無菌室設置など、さらに強力な医療体制を目指していく方針です。

下記血液疾患全般にわたり、外来および入院診療を行っております。
- 一般的な血液異常:白血球上昇・低下、貧血、多血症など
- 血小板・凝固異常:出血傾向、特発性血小板減少性紫斑病、血友病など
- 慢性骨髄性白血病を含む骨髄増殖性腫瘍
- 悪性リンパ腫
- 多発性骨髄腫
- 骨髄異形成症候群
- 再生不良性貧血
- 急性白血病

特に集学的治療が必要な場合は近隣病院や関連施設と連携し患者様に適切な医療を提供させていただいております。

外来担当医紹介

名前 職位 専門 資格
得平 道英 部長 血液疾患全般 日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医(指導医)
日本血液学会専門医・代議員(指導医)
日本骨髄腫学会評議員
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本医師会認定産業医
木村 勇太 医長 血液疾患全般 日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医(指導医)
日本血液学会専門医

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日本血液学会専門研修教育施設

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これまで血液疾患全般において数多くの症例を経験し、治療方法についても同種造血幹細胞移植を含め幅広い知識、経験を元に医療を行っております。また、近年は特に高齢者における血液疾患が急増していますが、当科ではご本人、ご家族ともよく相談した上で、納得が得られる治療法をご提案させていただいております。特に高齢者においてはQOLを維持できるような負担の少ない医療も一つの重要なテーマであり、状況に合わせて、積極的に治癒を目指す治療から緩和療法的治療まで、様々な対応が可能です。

また、最近では医学の進歩とともに、数多くの有効な薬剤が開発、臨床応用されてきました。その結果、同種造血幹細胞移植が不要となり、服薬だけで長期生存できる疾患もでてきた一方で、標準治療を行なったとしても長期に薬剤を服用しなければならず副作用が生じてしまう症例や、新しい薬剤のためこれまででは経験しないような副作用が出現する症例など、実際の医療において、至適な治療方法を模索することもまた、一つの重要な課題となっています。
このような現状を踏まえ、これまでも様々な疾患における臨床解析に積極的に取り組んでまいりました。その一部を下記に記載しましたが、当院においてもこれらの研究は継続し、各疾患における最適な医療を目指してまいります。

なお、病気のご相談や、セカンドオピニオンも受け付けております。ご自身の病気に関してご不明な点などあれば、予約のご連絡の上、ご活用ください。

1. 慢性骨髄性白血病 (CML)
CMLは約20年前に経口剤であるチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブが登場し、95%以上の症例で長期生存が可能となりました。現在では5種類のチロシンキナーゼ阻害薬が使えますが、一方で、長期服用における副作用もまた問題となっています。2016年より多施設協同研究グループ (CML-CSL) の一責任者として研究グループを立ち上げ、日本における実臨床でのCMLの至適治療の解析を目的として、数多くの臨床研究、発表を行ってきました。これまで下記の論文を含め報告してきましたが、当方が報告した論文が最新版のアメリカのNCCNのガイドライン (J Natul Compre Canc Netw. 2020; 18: 1385-1415) 内で引用されております。
(CML- 論文、書籍、雑誌)

2. 多発性骨髄腫 (MM)
MMは高齢者に好発する疾患ですが、20年前にサリドマイドが登場し、その後も多くの新規薬剤が開発されたことで、治療方針が大きく変わりました。依然治癒を目指すのは困難な疾患ですが、さまざまな薬剤を併用することで高い寛解率を達成することが可能となった一方で、特に高齢者においては感染症や全身状態の悪化など、治療を強くしたが故の反作用も認められるようになっています。しっかり治療を行うことで素晴らしい治療反応が得られる場合だけでなく、体に優しい治療を選択することでかえって良い状態に保つことができる場合など、その時の状況に応じた判断がとても大切になっています。そのような視点からも、検討を行い報告してきました。今後もさらなる検討を行い、状況に応じた最適な治療を提供してまいります。
(MM- 論文、書籍、雑誌)

3. 悪性リンパ腫 (ML)
血液腫瘍の約半数がMLであり、80以上の亜型が存在します。これまで多くの症例を経験し、治療を行ってきました。近年では様々な新しい薬剤が登場し、またそれらの薬剤にも精通しながら、ご相談の上、その方にあった治療を決めていくことが大切となっています。
(ML-論文、書籍、雑誌)

4. メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD)
自己免疫性疾患である関節リウマチではメトトレキサート (MTX)が第一選択薬として用いられています。一方で、MTXを使っていると頻度は稀ですが、悪性リンパ腫を含めたリンパ増殖性疾患が出現することがわかっています。特に日本人に多く発症することが報告されていて、これまで数多くの症例を診察し、世界の第一人者の一人として医療を行なってまいりました。

近年まではMTX-LPDの臨床的特徴やその治療方法など不明でしたが、その解析を行い、多くの報告を行なってきました (下段、<論文、書籍、雑誌>を参照してください)。例えば、MTX-LPDの特徴の一つとして、MTXを中止すると、その2/3において病変が消失することが知られている一方で、その消失した症例の半数で再燃することや、ホジキンリンパ種において再燃比率が高いことなどを報告しています。これらの報告は血液腫瘍の分類や特徴を示したWHO分類においても、当方の論文が引用されています。
しかしながら、その全容はまだ解明しているわけではないため、今後も他の施設と協力しながら、その病態と治療方法、管理方法について、更なる検討を行い、最適な治療をご相談したいと考えております。
(MTX-LPD-論文、書籍、雑誌)

5. その他の疾患
上記以外の疾患である急性白血病、骨髄異形成症候群、止血血栓領域や、自己免疫性疾患においてもこれまでに豊富な症例数を経験し、研鑽を積んできております。下記の論文や書籍、雑誌の著書も合わせてご参照ください。血液全般において、標準治療を踏まえながら、その病態と治療方法、管理方法について、最適な治療をご提供できるよう、検討を重ねてまいります。
(その他-論文、書籍、雑誌)

● 研修医の先生方へのメッセージ ●
さいたま市は埼玉県で一番人口が多く、血液疾患も非常に増加している地域で、当院では多彩な血液疾患を担当することが可能となっています。また最先端の治療方法から、高齢者を含めた患者に寄り添った優しい治療を学ぶことができます。血液疾患では新しい薬剤が次々に登場し、その治療方針も変容を遂げています。興味がある方はまず見学に来ていただき、その上でこれからの医療のあり方についても一緒に学んでいきましょう。