放射線治療

診療・各部門

放射線治療について
 放射線治療は、手術・薬物療法などと同じくがん治療の重要な役割を担っています。手術と同じ局所療法ですが、機能や形態を温存することで体への負担軽減が可能です。がんの根治をめざす治療からがんによる症状の緩和をめざす治療まで目的に合わせて治療プランを選択することができます。
 放射線治療の豊富な知識と経験をもつ放射線治療医が責任を持って治療にあたります。また、治療担当看護師、放射線治療専門技師、放射線治療品質管理士、医学物理士、受付事務員など充実したスタッフにより安心して治療を受けることができます。
放射線治療の流れ
   診察、治療説明   
放射線治療医が各科または地域医療機関と連携し、患者さまそれぞれに適した治療方針を決定します。治療期間中、治療終了後も定期的に診察をし、必要に応じて適切な処置をします。
   看護師からの説明   
毎日安心して治療ができるように最初の診察から治療期間中の過ごし方などを説明し、患者さまおよびご家族のサポートします。
   治療計画CT撮影    15 ~ 20分
正確な腫瘍の場所や解剖学的な位置関係を知るために実際に治療を行うときと同じ体位でCT撮影をします。治療する部位や照射方法により寝る姿勢、補助具、固定具などが変わります。頭部や頚部を治療する場合には、お面のようなマスクを作成します。マスク作成は、少し時間がかかります。また、CT撮影時に体の表面に仮のマーキング(印)を書きます。(マーキングは治療開始時まで消さないようお願いいたします。)
   治療計画、検証    1日 ~ 1週間程
治療計画CTを基に放射線治療医が照射方法、照射回数、放射線量を放射線治療計画専用PCを使用して決定します。これを放射線治療計画といいますが、計画の際に腫瘍にきちんと放射線が照射されることはもちろんのこと、正常組織には放射線があまり当たらないように工夫します。また、より高度な治療を行う場合には医学物理士、放射線技師で線量測定等を行い治療プランのより詳しい検証を行います。

   位置照合・治療(照射)    10 ~ 30分
治療計画CT時と同じ体勢になるよう放射線線技師が治療室内のレーザーを用いてポジショニングをします。治療計画に基づき治療ターゲット部位に寝台を移動させ、画像を取得します。得られた画像と計画CT画像を照合し、位置ずれを補正後、体の表面にマーキングをします。治療を行う直前に放射線技師2名で再度治療データに間違いがないか確認し、照射します。治療は、病状や症状により異なりますが数日から8週間程度行います。
   治療中・終了後診察   
治療期間中は週一回程度、診察を行い、容態や治療部位の確認をさせていただきます。
また、患者さまについての情報共有に努めるため放射線治療に関わるスタッフで定期的にカンファレンスを実施しています。
治療終了後は、放射線治療外来に数回受診してもらい、治療効果や副作用の有無などを確認させていただきます。
実際の放射線治療
・外部放射線治療(3DCRT:conformal radiotherapy )
リニアック装置を使用して、体の外側から病巣に向けて放射線(X線、電子線)を照射する方法で最も多く行われている放射線治療です。多方向から放射線を照射することにより病巣に線量を集中させつつ、正常な臓器への線量を低減させることが可能です。

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・画像誘導放射線治療(IGRT:Image Guided Radio Therapy)

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放射線治療を精度良く行うために体表面の印を使って体勢を補正する方法と治療寝台を移動して補正する方法の2種類があります。後者の方法は、IGRTと言われ、治療寝台に患者さんが寝た状態でX線画像やCT画像を撮影し、腫瘍・骨・正常臓器の位置を把握します。治療計画で設定された適切な位置に治療寝台を補正(移動)させ治療します。
・強度変調放射線治療(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)
強度変調放射線治療(IMRT)とは、多方向からビーム形状を細かく変化させ、放射線に強弱をつけて病巣の形に合わせて集中的に照射する方法です。また、病巣の周辺にある正常な臓器への線量を極力減らしながらより多くの線量を標的に照射することができ、正常な臓器の副作用を増加させることなく、がんの制御率を高めることができます。

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〜前立腺がん治療例〜
※3DCRTでは、高い線量を示すライン(矢印)が直腸(黄色)部分までおよんでいるが、IMRTでは、高い線量を示すラインが直腸に沿って凹んで、直腸への放射線量が低減される。
放射線治療を受ける患者さまへ
治療室内には患者さん以外は入室できません
治療室内では患者さんは一人になりますが、治療室内に設置してあるカメラとマイクで治療中の様子は確認できるようになっています。常に放射線技師が見守っていますので心配ありません。なにか具合が悪いことがあれば手で合図するか、声でお知らせください

治療による痛みは全くありません
放射線が体にあたっても、痛みは全くありません。また、治療中に装置が回転する場合がありますが、体に触れることはありませんので安心してください。
治療中は体を動かさないようにしてください
治療中に体を動かすと病巣に十分な放射線が照射されなかったり、まわりの正常部分に放射線が余計に照射されたりする可能性があります。病気のために痛くてじっとしていられない方は、あらかじめ治療医師や看護師に申し出てください。

治療時間は10〜20分程度です
初回の治療時は、正確に治療できるか検証するために時間がかかることがありますが、通常の治療は、10〜20分程度です。(治療部位が複数の場合はもう少し時間がかかります。)また、実際に放射線が照射されているのは、数十秒から2分程度です。
放射線治療は決められた回数の治療が必要です
治療回数や治療期間と効果は密接に関係しています。予定した治療回数を行うことで治療効果が期待できます。半分ほどの回数でやめてしまった場合、治療効果は期待できません。

治療期間中の診察について
放射線治療期間中は、週一回、放射線治療医が診察します。体の症状でなにか気になることや変化がある場合は治療医、看護師にご相談ください。